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大阪地方裁判所 昭和57年(わ)1947号 判決

本店所在地

大阪市阿倍野区天王寺町北三丁目一二番一七号

サンライン株式会社

(右代表者代表取締役橋野実こと橋野實)

本籍

大阪市阿倍野区天王寺町北三丁目一二〇番地

住居

同町南三丁目一〇番八号

会社役員

橋野實

昭和一〇年六月一九日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人サンライン株式会社を罰金一、二〇〇万円に、被告人橋野實を懲役一〇月に、各処する。

被告人橋野實に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告人サンライン株式会社及び被告人橋野實の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人サンライン株式会社(以下被告会社という。)は、大阪市阿倍野区天王寺町北三丁目一二番一七号に本店を置き美容器具の製造販売等を目的とする資本金八〇〇万円の株式会社であり、被告人橋野実こと橋野實は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人橋野實は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を一部除外するなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和五三年四月一日から同五四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一、八九五万七、三二五円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五四年五月三一日、同区三明町二丁目一〇番二九号所在の阿倍野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零で、納付すべき法人税がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額六五七万七、四〇〇円を免れ、

第二  昭和五四年四月一日から同五五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九、一五六万五、七六六円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五五年五月三一日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五三万四、一四四円で、納付すべき法人税がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三、五五一万一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の被告人に対する各質問てん末書一〇通

一  深田恵の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の橋野明美(三通)、橋野昭和(二通)、橋野瑠美子、金子政利(二通)、深田恵、碇山蓉子、大山幸子、村井正弘、籔本安彦(二通)、永尾明男(二通)、佐野鷹雄、石田三蔵、奥田秀子、長尾光雄、大谷八重子、土田正雄、佐谷雅教、吉永隆徳に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書二六通

一  被告会社作成の「青色申告の承認申請書」と題する書面謄本

一  大阪法務局登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠等関係カード検察官請求分番号1)

一  被告会社作成の法人税確定申告書謄本(前同番号3)

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前同番号2)

一  被告法人作成の昭和五五年五月三一日付け法人税確定申告書謄本

(法令の適用)

被告人橋野實の判示各所為はいずれも、行為時においては昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の法人税法一五九条一項に、裁判時においては右改正後の法人税法一五九条一項に該当するが、犯罪後の法令により刑の変更がったときにあたるから刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人橋野實を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人橋野實の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、右昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項により判示各罪につき同じく改正前の法人税法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で、被告会社を罰金一、二〇〇万円に処する。

訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により、被告会社及び被告人橋野實に連帯して負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 金山薫)

別紙(一)

修正貸借対照表

昭和54年3月31日 現在

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二)

修正貸借対照表

昭和55年3月31日 現在

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

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